『毎月1回のペースで継続開催していた無伴奏ギター独奏会“Life”は、2012年12月で終了した。そう、このシリーズは確かに終了したが、実は演奏会は別の形で継続され続けていた。それは一般には完全非公開のもので、死霊相手におこなわれるもの。何モノにも囚われぬ自由な演奏を目指し、“Life”も大方それを実現していたのだが、どうしても生きた人間を目前にしては、その喜びや緊張感などが奏者にフィードバックされ、次に奏でる音に少なからずの”影響”を与えていた。この”影響”は、言わば次に奏でる音の表現上の方向性を示すという、つまりは奏でてはならぬ音をも明確にしてしまう“制限”と同義であった。何モノからも解き放たれ、完全に自由な次音の発生実現には、生きた人間が障壁となっていた。そこで私は無人での演奏会によりその実現に臨んだ。しかし完全に無人というのは、実は難しい。物理的に人は存在しなくても、奏者の感覚に於いては何モノかの臨在感を消し去る事ができなかった。私はその見えざる観客を“死霊”と呼称した。この死霊の存在が、完全に無人であるよりも良い影響を奏者に与えると気づくのに、そう時間はかからなかった。“死霊”のお陰で、私は無人という状態に囚われることからすらも解き放たれたのだから。この死霊相手の無伴奏ギター独奏会を、私は目指す完全即興から“Impromptu”シリーズと名付けた。』(JINMO) 第184作めのソロアルバム、その名も、“Impromptu 140424”。 JINMOの演奏中の途切れる事、淀む事、滲む事の無い意志と集中力の長時間継続。 JINMOのギター独奏時の特徴的スタイルのひとつに、高速複雑で極微細な即興があります。 音楽的な時間認識に於いては、律動についても、単位時間内での周波数の変化や合成の仕方についても、そこに“単純さ”と“複雑さ”が相反するものではなく、未分化に併存しているとJINMOは考えています。 またグロッソラリアは人為的意識的な表現から距離を置くものであり、1920年代にアンドレ・ブルトンらシュールリアリスト達が、新たな芸術運動のひとつとして実践していた“オートマティスム”の、純化された本来的姿であるともJINMOは捉えています。 『“美は痙攣的なものだろう、それ以外にはないだろう”と、アンドレ・ブルトンは1928年の著書“ナジャ”で明言した。この痙攣とは、原文では不随意な肉体の動きを表す医学用語としての、“CONVULSIVE(痙攣)”が用いられている。ここに、私はブルトンが用いていた“オートマティズム”との関連を明確に感じるし、私に於いての“グロッソラリア”との相似を感じざるを得ない。』(JINMO) このJINMOの言葉は、そのブルトンが“美”を語るにおいて、不随意な肉体の動き、“痙攣”を持ち出したのを受け、自己の表現との関連から述べたものです “Life”シリーズ全作品と“Impromptu”シリーズ第1作は、ギターアンプからの音をマイクで収録したものでしたが、本作ではマイクを使わず、ギターアンプからのライン出力をそのまま記録するライン・レコーディングでおこなわれました。 聴き進む内に、非常に複雑に思える音のひとつひとつは、言わば波の雫のひとつひとつであり、俯瞰してそこに渺茫たる太洋が静かに在るのにやがて気づくでしょう。 ジャケットは丹野徹氏がデザインした美しい十字架ロゴが中心に据えられたシンプルなものです。奏者(生霊)と死霊を繋ぐに、これほど相応しいものは無いと思います。 因みに本作を含むシリーズ6作品のレコーディング・データは以下の通りです。 07【Impromptu 140424】 2014年4月24日(木)録音 東京ビュックにて ALBIT GC-1 Jinmoidのノブはミッドのみフラット タッピング ライン録音 1時間15分28秒 2015年2月24日リリース 06【Impromptu 140423】 2014年4月23日(水)録音 東京ビュックにて Ideyha Giga(x-18-18-18) Jinmoidの総てのノブはフラット タッピング ライン録音 1時間15分16秒 2014年11月6日リリース 05【Impromptu 140327】 2014年3月27日(木)録音 東京ビュックにて ALBIT GC-1 Jinmoidのノブはミッドのみフラット ピッキング ライン録音 3時間17分42秒 2014年9月10日リリース 04【Impromptu 140326】 2014年3月26日(水)録音 東京ビュックにて Z-Vex(x-07-07-17-17) Jinmoidの総てのノブはフラット ピッキング ライン録音 57分08秒 2014年7月26日リリース 03【Impromptu 131207】 2013年12月7日(土)録音 アトリエにて ALBIT GC-1 Jinmoidのノブはミッドのみフラット ピッキング ライン録音 2時間5分32秒 2014年5月16日リリース 02【Impromptu 130913】 2013年9月13日(金)録音 アトリエにて YAMAHA THR10X(BROWN I) Jinmoidの総てのノブはフラット ピッキング ライン録音 1時間11分54秒 2014年3月13日リリース 01【Impromptu 130603】 2013年6月3日(月)録音 アトリエにて ALBIT GC-1、ZT Amp Lunchbox Jinmoidのノブはミッドのみフラット ピッキング マイク録音 56分42秒 2014年1月27日リリース ギター愛好家の方々にはもちろん、現代音楽、先端的テクノ、実験音楽をお好きな方々にもお薦めのアルバムです。 前作“Vril Damen”から僅かに49日。 通算第184作めのソロ・アルバム(Avant-attaqueからの第165作め)、リリースです。 もちろんCDと同等の、Apple ロスレス 44.1kHz 16bitの高音質です。 。 (Avant-attaque:HARI) |