QuQu (ver.1.0)

1. QuQu 01 (09:05)
2. QuQu 02 (06:52)
3. QuQu 03 (07:16)
4. QuQu 04 (08:09)
5. QuQu 05 (18:21)



サンプル音源を視聴する為には、QuickTime(無料)が必要です。





タイトルの“QuQu”ですが、これはJINMOの造語だそうです。
本作のドラム・トラックが完成し、初めてプレイバックをした時に思わず口から出た言葉で、
発音は“QuQu(クークー)”ですが、意味は“Coolcool(善哉善哉)”とのこと。
JINMOはTwitter上などで、或る事象にたいへんな満足を得た喜びを、しばしば「善哉善哉」と記していますが、
それを英語にすると、こうなるのですね。

有機的な、まるで生物の声にも似た非楽音ギターの多重録音に、”プレクティクス・パルス”系の細密複雑なドラムが絡んでいます。
本作におけるギターは、通常のピック以外のもので弦を振動させたり、また弦自体に異物を装着して、通常と異なる弦の振動を得たりしているそうで、エフェクターによる加工は極めて少ないそうです。

“クォークの父”と呼ばれ、ノーベル物理学賞を受賞したマレー・ゲルマン博士は、複雑系研究で有名なサンタフェ研究所のひとりでもありますが、彼が自身の研究テーマの概念を表した言葉が”プレクティクス(Plectics)”です。
これは”単純さ”と”複雑さ”を意味する二つのラテン語を合成した造語です。
JINMOの言うところの”プレクティクス・パルス”とは、ゲルマン博士の概念を受け、”単純さ”と”複雑さ”が相反するものではなく、音楽的な時間認識に於いて未分化に存在するのだという律動表現であると考えられ、それは周期的反復を前提とした人造的な”リズム”ではなく、より奔放な”パルス”であるという考えも同時に示しています。

JINMOの極微細の絵画表現“nanoZen”と、ギター演奏においての細密複雑表現との関連は、よく論じられるところですが、本作を聴けば、その関連はドラムにおいても顕著であり、すなわち”プレクティクス・パルス”の概念がJINMOの表現全般に通奏していることが解ります。

ジャケット写真は、石黒達也氏による演奏会“Life”におけるライブ写真です。
たいへん珍しい純白の衣裳を身にまとっています。
JINMO自身もたいへんに気に入っている写真で、自らジャケット・デザインもおこなっています。

ギター愛好家の方々にはもちろん、現代音楽、先端的テクノ、実験音楽をお好きな方々にもお薦めのアルバムです。

前作”ZENith Water”から僅かに41日。
通算第156作めのソロ・アルバム(Avant-attaqueからの第137作め)、リリースです。
もちろんCDと同等の、Apple ロスレス 44.1kHz 16bitの高音質です。

(Avant-attaque:HARI)