Neurocity (ver.2.0)

01. Neurocity 01 (05:25)
02. Neurocity 02 (03:14)
03. Neurocity 03 (05:10)
04. Neurocity 04 (05:49)
05. Neurocity 05 (03:56)
06. Neurocity 06 (03:07)
07. Neurocity 07 (03:49)
08. Neurocity 08 (05:36)
09. Neurocity 09 (06:48)
10. Neurocity 10 (06:28)
11. Neurocity 11 (04:10)
12. Neurocity 12 (05:21)
13. Neurocity 13 (04:35)
14. Neurocity 14 (03:27)
15. Neurocity 15 (02:22)
16. Neurocity 16 (04:51)
17. Neurocity 17 (02:06)
18. Neurocity 18 (03:19)
19. Neurocity 19 (03:39)
20. Neurocity 20 (04:19)
21. Neurocity 21 (02:56)
22. Neurocity 22 (03:41)
23. Neurocity 23 (04:10)
24. Neurocity 24 (04:58)
25. Neurocity 25 (06:48)
26. Neurocity 26 (05:11)
27. Neurocity 27 (03:25)



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『シチュアシオニストの「漂流(デリーヴ)」により、近代以降の都市は住居や店舗や交通といった機能的アイテムの集積である物理現実以上に、様々な表現の媒体として変容し転用(ディトルヌマン)し得る情報現実としても機能し始めた。そしてその導き出された心理地理学は、今日ではハンドヘルドのタブレットを携帯参照しながらの新たな「漂流」体験の実現により、漂流者各人の神経が連結されていく(個人的な都市の意味が共有されていく)群体としての知覚でもって、まるで神経接続された都市様相となっている。また、地図はもはや物理的な方向や距離を示す機能以上のものを、当然のようにApp群に反映している。これは我々の脳が既におこなっている新たな心理地理学を再確認させてくれるものだろう。私は日常的に大都市「漂流」をおこなっている。そこで知覚された心理地理学的な音が、これだ。』(“Neurocity”想 JINMO)


JINMOはほとんど毎晩のように、深夜の銀座を「漂流」しています。
前述のJINMOの言葉にもあるように、iPhoneを片手に…。
昼間、そこに75万から80万人いた人々が殆ど消え去り、無人都市となり都市機能が不要となった深夜の銀座は、通常人々が認識する都市“銀座”と全く異なるものに意味変貌します。
そこに新たに見いだされるものに、JINMOは大きな知的興奮と愛着を抱くそうです。
(その体験は、年に2回おこなわれる特別茶会でのイベント“Ginza Midnight Cruise”にて、JINMO自身の引率で案内され、茶会ゲスト達に共有されています。)

美しい建物、美しいショーウインドウ、美しい街路などが、昼間の機能性を脱ぎ去り、それ自体の美をまるで現代美術館の展示のように、いやそれ以上の現代性を放ちながら、漂流するJINMOを包み、JINMOもその総てを五感で感覚し尽くそうとします。
本作は、JINMOが毎晩体験(インプット)している心理地理学的な都市の魅力を、そのまま音としてアウトプットしたものと言えるでしょう。

“Neurocity”とはJINMOによる造語で、「神経の」を意味する接頭辞“neuro”と「都市」“city”を組み合わせたものです。
JINMOにとっての都市漂流時の必携アイテムであるiPhoneにより、常にリアルタイムに物理現実としての都市と、情報現実としての都市が溶着し、それがやがて自らの神経と接続されていくような感覚の、いわば「神経接続都市」といった意味だそうです。

ジャケットは、石黒達也氏による大都市の夜景です。
JINMOのイメージのように、シナプスを走る電流の美のような、美しい写真です。

現代音楽、先端的テクノ、実験音楽をお好きな方々にはもちろん、ギター愛好家の方々にもお薦めのアルバムです。

前作”Quasar APM 08279+5255”から僅かに15日。
通算第143作めのソロ・アルバム(Avant-attaqueからの第124作め)、リリースです。
もちろん、Apple ロスレス (44.1kHz 16bit)の高音質です。

(Avant-attaque:HARI)


【44.1kHz 16bit でのダウンロード・リリースを始める/JINMO】

『 ネットを使えば、特に何かの媒体に広告を出さなくても、世界中に門を開く事ができる。小さなアパートの一室から世界規模で情報を発信して、振込で入金してもらう、というシステムが今なら可能ですよね。 例えば作品があまり一般的でない性格のものであっても良いし、また世界規模で売る事を考えれば、個々の国では僅かな枚数しか売れないかも知れないけれど、全部を合計したらまあまあの大きさになります。そうした中で作品を発表して、その売り上げを次の作品の制作費に充てる、そんな風にして、わがままな音楽家が本当に個人的な音楽を演りつつも、音楽だけで生計を立てていくということが、通信ネットワークの発達の御陰で可能になったんですよ。だからこれからは、インターネットなどを通じて、ひとりひとりの表現者が個々にレーベルを持つようになってくると思うんですよね。』

まだWindows95すら発売されていなかった今から18年前、“月刊ギターマガジン誌1995年5月号”に掲載された私のインタビュー記事からの引用だ。
1994年頃、RADIUSの登場により地方でのアクセスポイントの開設が急速になっていった頃、私は前述の予感に興奮し、周囲の者に、そう、ギターマガジン誌のインタビュアーにまで語ったが、その興奮を共有してくれる者はほとんど絶無であった。
無理も無い。
NTTによる常時接続(今日の1,000倍くらいの遅さ)が月額38,000円という価格でスタートしたのでさえ、1997年の事なのだ。
この予感は、愛好家が音楽を入手するのに“小売店”を必要としない、つまり“卸屋”を必要としない、“運送屋”を必要としない、そして“レコード会社”を必要としないで、作家が直接に愛好家と連結する状態を、意味する。
そう、音楽が“商品”としての枠組みから解放されて、音楽産業確立以前の、音楽が純粋に“音楽”として価値を放っていた時代への復権を意味するのだ。

そして2006年3月、『表現者と愛好家の直結』を実現する回路として、独自レーベル“Avant-attaque”を立ち上げ、介在者皆無のダウンロード・リリースを始動した。
しかし当時の一般的な通信速度と、再生装置のスペックを考慮すると、CD品質である“44.1kHz 16bit”でのリリースは非現実的であり、やむを得ず”MP3 160kbps”という圧縮フォーマットでのリリースとなった。
その後、2007年3月には”AAC 192kbps”、2008年4月には“AAC 256kbps”、2009年5月には“AAC 320kbps”と、常に一般的な通信速度と、再生装置のスペックを考慮しながら、逐次、高音質化をめざしたアップデートを継続してきた。
その度重なるアップデートの中、徐々に実現されていく高音質化に、確かに私は喜びは感じるものの、その一方で、高音質とはいえオリジナルよりは明らかに劣化する圧縮フォーマットであるAACへ、リリース直前で不本意ながら変換する作業中、自らの純情に対して忸怩たる思いを抱き続けてきたのも真実だった。

さて、契機は二つあった。
まず、2012年9月にリリースされたApple社の”OS X Lion 統合アップデート 10.7.5”のサイズが、1.91GBであった事。
約2GBという大きなファイルが一般的であるとは到底考えはしないが、Apple社がおこなうという事実から「2GBとはいえ、もはや非常識な大きさではない」という時代が到来したのだという認識が、私を大きく勇気づけた。
二つめに、2011年10月、たいへん良質な可逆圧縮方式である“Apple ロスレス”の、それまで非公開であったソースコードが公開されたという事。
Apple ロスレス”が、今後、かつてのMP3、AAC同様、Apple製品以外の機器やソフトウェアにおいても長く使われる規格となるだろう事が、この1年の業界の動向から強く実感できた。

そして…、
本日2013年3月23日以降、”Avant-attaque”からダウンロード・リリースされるアルバムは、“Apple ロスレス”フォーマットとなる。

これにあたり綿密な波形比較をおこなったが、 “Apple ロスレス”の波形は、まったくCDのそれと同一だった。
これはCDとまったく同様の音質であることを意味する。
また、サイズは60%から50%程度の圧縮を実現している。
加えて、曲名、アルバム名、ジャケットなどのデータを添付するID3タグにも対応している。

まず、 初めての“Apple ロスレス”フォーマット・アルバムとして、“Extremus”をリリースする。
これは超音波帯域も含む可聴域全域をフルに満たすパートでオーケストレートされた作品で、高音質を謳う “Apple ロスレス”での初リリース作品として相応しいものだと自負している。
加えて、アルバム “Extremus”は、全1曲で、途切れの無い「3時間19分18秒間」という音響体験になる。
この長さは約70分が収録限界であったCDでは、リリース不可能な作品だ。
ダウンロード・サイズは1.73GBとなる。
これはApple社の”OS X Lion 統合アップデート 10.7.5”のサイズ、1.91GBより10%小さい。

Avant-attaqueから既にリリースした125作品についても、今後順次、 “Apple ロスレス 44.1kHz 16bit”へとアップデートしていく。
既に旧バージョンを購入されている愛好家の皆様には、心からの感謝を込めて、無料アップデートの対応をさせていただく。

また価格については、全作品の統一価格という音楽業界の非合理な慣例は葬り、従量制とする。
具体的には「1秒あたり、0.008ドル」という計算でおこなう。
つまり50分(3,000秒)のアルバムなら、24ドル、25分のアルバムなら、12ドルとなる。
また72分30秒(3,750秒)以上の長さの作品は、如何に長くなろうともこれを総て30ドルを価格上限に定める。
これにより、最も長い作品である新作”Extremus”は、30ドルとなる。

既発作品に関しては、 “Apple ロスレス”へのアップデート時に同時に、価格改変していく。
ウェブ上でのサンプル音源についても、作品のアップデートと同時に“Apple ロスレス”によるサンプルへと入れ替えていく。

愛好家にとっては、より幸せな時代を享受していただけることだろう。
私もそうなのだ。
2006年3月のAvant-attaque始動以来、私が感じ続けていた「自らの純情に対しての忸怩たる思い」に、晴れ晴れと笑顔で、今、「あばよ!」と告げる事ができるのだから。

今までの厚いご支援に深く感謝し、今後の更なる歓喜の共犯をお約束しよう。

では、44.1kHz 16bitの“前撃”、Avant-attaqueをお楽しみください。

JINMO
2013年3月23日