Psychatronix (ver.2.0)

1. Psychatronix (55:23)




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『放電の魔人は現在の魔都に蘇生し、夜の大気総てを発光させ、大気総てをプラズマ・スピーカーとして、音楽的世界システムを轟響せしめる。その時、肉体性は完全自由落下し、精神性は完全自由上昇をし始める。【第138作め“Psychatronix”のVorstellung (表象)】』
(JINMO)

第138作めのソロアルバム、その名も、“Psychatronix”。
“サイカトロニクス”と読みます。

JINMOは本作を2012年3月6日の朝から作り始めました。
元々エレクトロ系オーケスレーション曲でしたが、2013年1月13日(リリースの2日前)未明、突然、大規模編成の弦楽とピアノ群弾で作り直し始め、『弦楽→ピアノ群弾→エレクトロ→弦楽→エレクトロ→ピアノ群弾→弦楽』の55分23秒の曲として完成させました。
その大きな変化に伴い、無機質なテクノ系のデザインで用意されていたアルバム・ジャケットも、全く異なるものへと急遽、作り変えられました。

『1930年代に撮られたアゼルバイジャンのオーケストラの写真(撮影者不明)をベースに、ニコラ・テスラを想起させるようなハード・サイエンティフィックなイメージのものにする。1930年代から強烈に放電し続ける魔都のオーケストラ曲。』
(JINMO、Twitterにおける2013年1月15日午前2時22分の記述)

このTwitterの記述がリリースの当日であることから、たいへんな情熱と勢いのある仕上げ作業であったことが判ります。
また『 ニコラ・テスラを想起させるようなハード・サイエンティフィックなイメージのものにする。1930年代から強烈に放電し続ける魔都のオーケストラ曲。』という、この作品についてのJINMOの具体的なイメージも語られています。
ニコラ・テスラの活動姿勢にJINMOは大きな共感を抱いており、新戸雅章氏による伝記“発明超人ニコラ・テスラ(筑摩書房)”は、JINMOの長年の愛読書のひとつです。
『1930年代…』については、LP盤の量産普及によって音楽が一気に大量生産・大量消費されていく産業化を始めた1940年代以前の、文化華やかな時代についてのイメージでしょう。
つまりは1940年代から、レコード産業が崩壊しつつある今日(奇しくも先ほど、英レコード販売大手・HMVの経営破綻のニュースがありました)までを消去し、1930年代に直結する21世紀的表現の現出、或はルネッサンス(決してノスタルジーではありません)が、JINMOの本作に望むところであったとも言えるでしょう。

複雑繊細なオーケストレーションは、JINMOの言葉通り『ハード・サイエンティフィック』な響きであり、魔人的なマッドサイエンティストが最先端科学の力を帯びて、現在に蘇生した感じに、私には思えます。
どうぞ、 この『1930年代から強烈に放電し続ける魔都のオーケストラ曲』を、全身に帯電しながらお楽しみください。

現代音楽、先端的テクノ、実験音楽をお好きな方々にはもちろん、ギター愛好家の方々にもお薦めのアルバムです。

前作” Life 121027”から僅かに11日。
通算第138作めのソロ・アルバム(Avant-attaqueからの第119作め)、リリースです。
もちろんCDと同等の、Apple ロスレス 44.1kHz 16bitの高音質です。

(Avant-attaque:HARI)