Up To Eleven (ver.2.0)

1. Up To Eleven 01 (07:33)
2. Up To Eleven 02 (08:04)
3. Up To Eleven 03 (07:49)



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『芸術衝動とテストステロン濃度に強い相関関係を感じる。テストステロンは雄としての生殖本能の根幹のみならず、攻撃性や能動性にも関わる。つまり、より純化した芸術は、守勢性や受動性から遠ざかる。最も純化した芸術は、思索の痕跡の対局、もはや“暴動”にも似た衝動の痕跡であろうと、私は考える。』(JINMO)

第128作めのソロアルバム、その名も、“Up To Eleven”。

通常ギターアンプのボリュームは、ツマミ位置”10”が最大値です。
アルバム・タイトルの“Up To Eleven”とは、それを超えて「“11”まで上げて、爆音で鳴らせ」という意味の慣用句に由来しています。

そのタイトルが示すように、収録された音は、たいへん力強い生命力に漲ったものになっています。
強烈で個性的な歪みのギターは、異言的に高速爆奏され続け、そこにプレクティクス・メトロノームとでも言うべき複雑なパルス音が重なります。

ギターにはもちろんBassLab社の“Jinmoid”が使用されましたが、独特の歪みはIdeyha社とJINMOの共同開発による“霄壌(Shoujou)”によるものです。
JINMOは、「Ideyha 霄壌は、Jinmoidを”狼の声を持つハードコア・テクノ・マシン”へと変態させるパンドラ・ボックスだ。」と言い、最近の演奏会では欠かす事のできない愛用機材になっています。
これを200ワットのZT Ampで大音量で鳴らし、マイク録音されています。
ですからエフェクターといえば、霄壌のみであり、それにパンニング調整と若干の音質補正を施したのみの、生々しい音の再現に注力したレコーディングがおこなわれています。

加えて、複雑なパルス音ですが、これもJinmoidによるものなのです。
こちらは前述の生々しさとは対称的に、Jinmoidの音をコンピュータで複雑な過程を経て、メカニカルな感じに加工したものです。
メカニカルではありますが、たいへん獰猛な生物的な印象を与えるのが面白いです。

以上、二つのギター音は全く違うベクトルを示しながらも、両者共に『“暴動”にも似た衝動の痕跡』として、有機化合しているようなアルバムなのです。

ジャケット・デザイン、及びジャケット写真は、JINMO自身によっておこなわれました。
Jinmoidと共存している花“芍薬”は女性器としての、日本刀は男性器としてのメタファーですが、同時にエロスとタナトスも象徴しています。
冒頭のJINMOの言葉通り、本作が『芸術衝動とテストステロン濃度に於ける強い相関関係』の元にあると示しています。

ギター音楽愛好家、現代音楽愛好家、即興音楽愛好家はもちろんのこと、先端的テクノ・マニアにもお薦めのアルバム。
アルバム・タイトルの通り、是非、「Up To Eleven」でお楽しみください!

前作”Vision”から僅かに7日。
通算第128作めのソロ・アルバム(Avant-attaqueからの第109作め)、リリースです。
もちろんCDと同等の、Apple ロスレス 44.1kHz 16bitの高音質です。

(HARI Avant-attaque)