第121作めのソロアルバム、その名も、“Reed”。
『最初に演奏し始めた本格的な楽器は、鍵盤楽器。幼稚園の頃だった。次に7歳の時に管楽器を始めた。
実は弦楽器(ギター)は最も遅く、10歳になるまで手にしていなかった。』(JINMO)
JINMOが弦楽器以外も演奏することは、マニアにはよく知られた事だと思います。
中でも管楽器は、弦楽器以前から演奏し続けていて、マニア向けの演奏会では披露された事もあるのですが、弦楽器、鍵盤楽器と違って、何故か今まで作品としてリリースされたことがありませんでした。
第121作にして、ようやくその管楽器演奏の実像が、広く知られる機会の到来です。
JINMO初の管楽器、それも無伴奏の独奏アルバムです。
使用した楽器は、1997年旧ソ連邦ツアーの際、モスクワで入手し、以来、愛奏し続けているグルジアの民族管楽器です。
これは縦笛の様な外観ですが、サックスのようにシングル・リードを発音体とするもの。
そしてそのリード部分を覆うようにカバーがついており、直接、リードを唇に挟むことの無い独特な構造になっています。
そのため、まるでリコーダーのような高速のタンギングが可能になっています(これは本作中でも多用されています)。
アルバム・タイトルの“Reed”とは、この楽器のそうした構造から名付けられています。
また、音程をコントロールするための穴は、楽器裏面の親指用のものを含めても、総数たったの7つしかありません。
サックス類どころか、学童用の縦笛より少ない穴です。
にも関わらず、非常に広い音域での奔放な演奏、また、まるでギターのチョーキングのようなレガートな音程変化表現など、管楽器奏者としてのJINMOのユニークな演奏技術も、楽しく御堪能いただける内容のアルバムになっています。
リード楽器である事の特徴を非常に強調した、倍音を豊富に含んだ音色コントロールも美しく魅力的です。
本作は楽器音をマイキングし、エフェクト処理して、そのまま録音した無伴奏管楽器独奏アルバムです。
現代音楽、先端的テクノ、実験音楽をお好きな方々にはもちろん、管楽器愛好家の方々にもお薦めのアルバムです。
CDと同等の、Apple ロスレス 44.1kHz 16bitの高音質です。
(Avant-attaque:HARI)