第115作めのソロアルバム、その名も、“Ginza Rain”。
『私は雨の音が、殊に夜明け前の雨の音が好きだ。その律動はプレクティクス・パルス。その一滴毎の間隔は、ミクロに於いては無限にシンプルで、マクロに於いては極度に複雑系の時間。本作は、その雨の音のプレクティクス・パルス。銀座の雨は、原始と近未来が連結したような儀式的な呪術(祝祭)装置として機能し、私の肉体のみならず、霊体をも濡らす。』 (JINMO)
“クォークの父”と呼ばれ、ノーベル物理学賞を受賞したマレー・ゲルマン博士は、複雑系研究で有名なサンタフェ研究所のひとりでもありますが、彼が自身の研究テーマの概念を表した言葉が”プレクティクス(Plectics)”です。
これは”単純さ”と”複雑さ”を意味する二つのラテン語を合成した造語です。
JINMOの言うところの”プレクティクス・パルス”とは、ゲルマン博士の概念を受け、”単純さ”と”複雑さ”が相反するものではなく、音楽的な時間認識に於いて未分化に存在するのだという律動表現であると考えられ、それは周期的反復を前提とした人造的な”リズム”ではなく、より奔放な”パルス”であるという考えも同時に示しています。
雨の日には必ず、Twitter上に、その雨音の美しさをTweetするJINMOですが、彼が音色だけでなく、プレクティクス・パルスとしての律動にも、美を見いだしていた事が、本作と前述の言葉で解ります。
本作は久々のコンピュータのみによるオーケストレーション作品。
アルバム”Miryam”、”Fetishia”、”tar”などもそうでしたが、一般的な西洋音楽起源のリズムとはまったく異なるところから発せられた、複雑で緻密で多層構造のリズム音楽です。
私にはアーバンで近未来的に聴こえる一方で、人類が誕生する以前の超太古の原始の海に降り注ぐ雨音のようにも聴こえます。
さぁ、プレクティクス・パルスの雨音、その神秘の美に、身も心も濡らしながら、お楽しみください!
前作”Lovedist”から僅かに9日。
通算第114作めのソロ・アルバム(Avant-attaqueからの第95作め)、リリースです。
もちろん、CDと同等の、Apple ロスレス 44.1kHz 16bitの高音質です。
(Avant-attaque:HARI)