Ryu's Nerve (ver.2.0)

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4. 19270724-4 (12:46)



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何ものかの僕を狙つてゐることは一足毎に僕を不安にし出した。
そこへ半透明な歯車も一つづつ僕の視野を遮り出した。
僕は愈最後の時の近づいたことを恐れながら、頸すぢをまつ直にして歩いて行つた。
歯車は数の殖えるのにつれ、だんだん急にまはりはじめた。
同時に又右の松林はひつそりと枝をかはしたまま、丁度細かい切子硝子を透かして見るやうになりはじめた。
僕は動悸の高まるのを感じ、何度も道ばたに立ち止まらうとした。
けれども誰かに押されるやうに立ち止まることさへ容易ではなかつた ... 。
(芥川龍之介著、"歯車"から)



「ピカソからは表現者としての"肉体性(生命の使い方)"を、
芥川龍之介からは"霊性(神経の使い方)"を学んだ。」
と、JINMOは言う。



JINMOに多大な影響を与えた表現者、芥川龍之介の生涯最期の夜、
1927年7月24日の雨の夜をテーマにした作品。

エロスとタナトスの境界領域で、青白く放電する4つの楽章。
夜の雨に濡れるむき出しの神経に、そっと触れるような、繊細に制御されたオーケストレーション。



ギター音楽愛好家、現代音楽愛好家はもちろんのこと、
先端的テクノ・マニアにもお薦めのアルバム。



The nerve of crystal sympathizing with moonlight with transparence keenly.
透明で鋭く、月光に共鳴する水晶の神経。

The night, he took an overdose of Veronal while being surrounded by beautiful rainy sounds.
その夜、彼は致死量のヴェロナールとジャールを飲み、雨音の中 ... 。


"I do not believe God, but my Nerve."
He committed suicide while reading the Bible.
「わたしは神を信じてゐない。しかし神経を信じてゐる。」
と言いながら ... 。
聖書を読みつつ、自裁する。


The sounds of Ryu's Nerve are discharging electricity with the pale lights at rainy night.
龍の神経の音は、雨の夜に青白く放電する。

(JINMO)