2006年1月31日、名古屋のライブハウス“得三”でのライブ・レコーディング。
								  2002年10月以来、“タヘレス”、“実存の祝典”、“ベルリン”と曲名を変えながら、
								  ほぼ毎回の演奏会で愛奏されてきた曲が、ファンの多くの要望に応え、
								  “Canaan(カナン)”という正式曲名とともに、ついに音源化。
								  ドラマチックでシンフォニックな51分47秒の大曲で、
								  近年のJINMOの無伴奏ギター独奏スタイルでの特徴的要素が、
								  この1曲にふんだんに盛り込まれている。
								  本作品中での総ての音は、ただ1本のギターで、
								  ステージ上で演奏されたままに録音されている。
								  オーバーダブ、シーケンサー、MIDIギターやシンセサイザー類は一切使用されていないし、
								  1音の修正もおこなわれていない。
								  このアルバムは純粋なるギター独奏のドキュメンタリーであり、
								  ギター表現の未踏の地平“Canaan”を指し示す記念碑的作品でもある。
								  
								  古くからのファンはもちろん、未だJINMOの音源に触れた事の無かった方々にもお勧めのアルバム。
								
										
											このレコーディングは、かつてベルリン、ミッテ地区の古建築“タヘレス(Tacheles)”に見た
											Canaan(約束の地)への想いが音楽作品として結晶化を一応完結させた瞬間としての意味をもったものだ。
											発生から丸3年の月日をかけて、幾多のライヴ現場で様々に態を変化させながら自生してきた結果の姿だ。
											管理されることを拒み、停滞を退け、常に変化し続けなければ死んでしまう野生こそが
											JINMOが求めるエキサイティングな日常であり、管理社会におとなしく納まっている飼い馴らされた人々
											が時々もとめる非日常が常態化したものである。
											このライヴ演奏を聴いて感じることは、硬質で無機的な手触りがある一方で有機的な生の爆発もあることだ。
											インダストリアルな紛れもない現代の都市の感触と、そこに息づく野生の生き物の熱だ。
										JINMOにとっての「約束の地」とは<都市>であり、生息する者を狂気へ駆り立てる魔力を内包する場所だ。
											そして都市もそこに生息する人間も生きている。
											いま渦巻いている狂気もやがては死に、また別の都市で人々を狂わせることになるだろう。
											(“N”氏)