+++ Ximpromptu 140917 (ver.1.0) +++


Ximpromptu 140917 (ver.1.0)

2017/3/7 リリース(avantattaque-0198)
全1曲 (total. 1:42:52)
フォーマット:Apple ロスレス (44.1kHz 16bit)
ウェブ・ストリーミング版
ジャケット写真:HARI
ジャケット・デザイン : JINMO
Created by : JINMO
Published by : Avant-attaque

01. Ximpromptu 140917 (01:42:52 - 578.1MB)

 




2016年12月以降、JINMOの意向により、Avant-attaqueからリリースされる全作品から値札を外すこととなりました。
以下のリンクボタンから、100円でも100万円でも、どうか貴方のお好きな金額をご入金ください。
(もちろんご入金いただかなくても、全作品は何度でもお聴きいただけます。)
貴方のご厚情が次回作の制作、今後の活動のサポートとなります。
よろしくお願いいたします。



作品をお聴きになるには、各曲の((PLAY))ボタンを押してください。
iPhoneでもiPadでもコンピュータでも、CDクオリティの高音質で、すぐにストリーミング再生されます。
専用の再生装置やソフトウェアは一切必要ありません。
またコンピュータでは、楽曲ファイルをダウンロードすることもできます。
いつでもどこでも、どうか貴方のお好きなようにお楽しみください。




『完全即興による”瞑奏”を目指した“Impromptu”シリーズは、2014年1月から2016年7月まで、13作をリリースしてきたが、14作目からは大きく様相を異なるものとなった。それまではコンプレッサー、或いはファズといったエフェクターを一つだけ加えた極めてシンプルな音質だった。だが14作以降は、複雑なエフェクト・プログラムを使用し、より”瞑奏”を体現するような音質になっている。演奏、及び録音に際しての私の姿勢に変わるところはないものの、聴く人には大きく聴感上の印象が異なるため、タイトルを”Ximpromptu”と改めた。これは”シンプロンプツ”と発音する。』(JINMO)

JINMOの演奏中の途切れる事、淀む事、滲む事の無い意志と集中力の長時間継続。
今迄も驚き続けたのですが、”Impromptu”シリーズから続くこの新しい”Ximpromptu”シリーズでも『一切の演出の排除されたエネルギー体の実存』の記録、という印象で、驚きと共に、思わず「天晴れ」と言いたくなる様な、あきれるような清々しささえも感じる私です。
本作は”Ximpromptu 140709(2016年12月19日リリース)”、”Ximpromptu 140716(2017年1月19日リリース)”、”Ximpromptu 140815(2017年2月3日リリース)”に続く、新しいシリーズの4作めとなります。

本作は、2014年9月17日(水)、JINMOのアトリエにて1時間42分52秒に渡って演奏されたものの記録です。
ギターはもちろんBass Lab社製のJinmoid、そしてメインになるエフェクターは2000年以来愛用し続けているALBIT社製のコンプレッサー、Cranetortoise GC-1、それに様々な複雑なエフェクターを加えて、ライン録音されています。

JINMOのギター独奏時の特徴的スタイルのひとつに、高速複雑で極微細な即興があります。
これをJINMOはグロッソラリア系と呼称しています。
グロッソラリアとは“異言”と訳されるキリスト教用語で、祈りの熱情が極限的になった時、本人の意識から切り離されたように舌が高速で動きだし、未知の言語的発生を猛烈におこなってしまう状態を指します。
本作も典型的なグロッソラリア系表現と言え、ここでは総ての音がたった1本のギターで奏でられています。
手指が、奏者とは別に、それぞれに独立した意思を持って、能弁に語り始めたような複雑な音です。

音楽的な時間認識に於いては、律動についても、単位時間内での周波数の変化や合成の仕方についても、そこに“単純さ”と“複雑さ”が相反するものではなく、未分化に併存しているとJINMOは考えています。
乱暴に言ってしまうなら、非常に単純に聴こえる表現でもミクロにおいては、非常に複雑なものの絡み合うような複合体であったり、逆に非常に複雑に聴こえる表現でも俯瞰するなら、非常に大きく単純なものの一部であったりという事です。
JINMOはこれをよく、大河の流れや、星雲の様子、海岸線の状態などで例えて説明しています。
この考えが、複雑系研究で有名なサンタフェ研究所のひとりマレー・ゲルマン博士の概念“プレクティクス”に近似しているため、JINMOは好んでこの単語を使います。
因みに、プレクティクスとは“複雑”と“単純”の意味を持つラテン語を合成したゲルマン博士による造語です。

またグロッソラリアは人為的意識的な表現から距離を置くものであり、1920年代にアンドレ・ブルトンらシュールリアリスト達が、新たな芸術運動のひとつとして実践していた“オートマティスム”の、純化された本来的姿であるともJINMOは捉えています。

 

『“美は痙攣的なものだろう、それ以外にはないだろう”と、アンドレ・ブルトンは1928年の著書“ナジャ”で明言した。この痙攣とは、原文では不随意な肉体の動きを表す医学用語としての、“CONVULSIVE(痙攣)”が用いられている。ここに、私はブルトンが用いていた“オートマティズム”との関連を明確に感じるし、私に於いての“グロッソラリア”との相似を感じざるを得ない。』(JINMO)

 

このJINMOの言葉は、そのブルトンが“美”を語るにおいて、不随意な肉体の動き、“痙攣”を持ち出したのを受け、自己の表現との関連から述べたものです。

聴き進む内に、非常に複雑に思える音のひとつひとつは、言わば波の雫のひとつひとつであり、俯瞰してそこに渺茫たる太洋が静かに在るのにやがて気づくでしょう。

JINMOの言葉にあるように、これまでにリリースされた”Impromptu”シリーズ全13作では、コンプレッサーかファズが一つだけ使用された極めてシンプルな音質でしたが、”Ximpromptu”シリーズではたいへん複雑なエフェクト処理が施されています。
そのため、別の楽器との合奏、或いはシーケンサー併用によるものではないかと誤解しそうですが、これは完全な無伴奏ギター独奏です。
前シリーズの13作と異なり、寄せては返す大きな波というか、巨大な天地の呼吸というか…、全く”瞑奏”という概念が理解しやすい音になっています。
左右へのパンニングが重要な要素となっていますので、ヘッドホンでのご愛聴をお勧めします。
また小さな音量で、生活環境の中に漂うように流すアンビエント・ミュージック系としての楽しみ方も、同時にお勧めです。

ジャケット写真は、JINMO自身によるミラー・ショット。
サイバーな近未来的印象を持ちながら、静かで激しい禅的要素にも満ちた、ロマンチックで美しい本作の音に相応しい画像だと思います。

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ギター愛好家の方々にはもちろん、現代音楽、先端的テクノ、実験音楽をお好きな方々にもお薦めのアルバムです。

前作“Bion (ver.1)”から、わずかに5日。
通算第217作めのソロ・アルバム(Avant-attaqueからの第198作め)、リリースです。
もちろんCDと同等の、Apple ロスレス 44.1kHz 16bitの高音質のウェブ・ストリーミング・アルバムです。

(Avant-attaque:HARI)